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生物学論文紹介同人サークル「ハイアイアイ臨海実験所」です。
ここでは、気になった学術論文を紹介したり、同人活動を告知したりします。

2016年10月08日

【復活】ハナアルキTシャツ&ジャージ【鼻行類】

2009年のコミケデビュー以来好評をいただいているダンボハナアルキTシャツですが、2年ほど前の売り切れ以降、ちょこちょこと再販のお問い合わせをいただくようになりました。そこでハイアイアイ臨海実験所活動再開の今年、ひさしぶりにダンボハナアルキTシャツを再生産しました!
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ちなみに、この骨格イラストは原著からのコピーではなく、骨スケッチの練習のために亀藤がD2くらいのときに描き起こしたもので、オリジナルより耳骨がやや大きめに描かれています。このダンボハナアルキについては亀藤が個人的に作成したジャージがあるのですが、「欲しい!」という声をいただいたため今回はこちらのジャージも作成しました。
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こちらは在庫が少なくなっております!

少なくなってきましたがランモドキTシャツもまだいくつか在庫がございます。

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そして、ちょうど今、全部売れてしまって在庫の無かった比類なき博物系Tシャツブランドパイライトスマイルさんとのコラボ作品「ナゾベームTシャツ」についても再販の声を受けて再生産中です!
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今回はカラーを変えてライトブルー(ネイビープリント)とカーディナルレッド(イエロープリント)で作成しています。今月中にはお届けできると思います。

ちなみに、こちらの手乗りナゾベームはヒメナゾベームで、その原記載の学名 Stella matutina(日本語で「明けの明星」)から体に鹿の子模様を入れています。たとえば matutinaを種小名として持つ生き物の例として、
ランの一種では http://bit.ly/14yeUPY こんな感じ、
オナガバチの一種では http://bit.ly/16VUPDm こんな感じ。

また、原著には
「ヒメナゾベーム属(Stella)を最初に設定したのはブロメアンテであった。その後ストゥルテンはStella matutinaをNazobema morgensterniiとしてナゾベーム属に入れた。事実、この両属の差はごくわずかで、尾を伸ばすメカニズムが違うだけである。モルゲンシュテルンヒメナゾベームでは、このメカニズムが本来あまり分化していないが、おそらくこれはStella matutinaが地上からあまり高くないところに実る漿果類だけを食べていることと関係があるのだろう。」

と記述があることから、小型の手乗りサイズであるだろう、そして漿果類(ベリーなど)だけを食すということでイチゴをあしらっています。

価格はいずれも送料込みでTシャツ1枚3500円、ジャージ1枚6500円とさせていただいております。Tシャツ、ジャージ問わず、2枚お買い上げいただければ1000円引き、3枚お買い上げいただければ2000円引き、4枚お買い上げで3000円引き…としようと思います!

さらに数量限定ですが、2枚以上お買い上げいただくとオマケでベルト付きハナアルキ野帳も付けます!

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各色S/M/Lサイズとございます。ダークチョコランモドキのみXLがございます。通販ご希望の方がいらっしゃいましたら、ご希望のサイズとカラー、送付先のご住所をメールにて hiiay.kamefuji@gmail.com までお知らせくださいませ。在庫の有無と代金のお支払方法について亀藤から返信いたします!よろしくお願いします!
posted by 亀藤 at 22:36| Comment(0) | 同人活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

【論文】人類は地球上の生物をどれくらい記載したか?

かめふじです。

先日石垣島のアリの巣の中で暮らす新種のカイガラムシが記載され、新種記載した先輩が新聞記事で紹介されました。そんな世間のカイガラムシ熱が高まっている最近ですが、おにぎり食べながらjournal巡りをしていたところ、こんな論文を発見してしまったのです。

Deng J, Li K, Chen C, Wu S, Huang X (2016) Discovery pattern and species number of scale insects (Hemiptera: Coccoidea). PeerJ, 4, e2526 https://doi.org/10.7717/peerj.2526

『カイガラムシの新種発見頻度と種数予測』

我々が認識する生物にはいずれも世界共通の名称として用いられている学名(属・種)がつけられています。それでも我々人類の知見の中に見当たらない未知の生物は出てくるもので、それを世間では「新種」などと呼んでいるのです。そんな「新種」の生物は、分類学者と呼ばれる人々に「これまでに知られている既知の生物たちとココがこう違う、ソコもそんなふうに違う」という感じで徹底的に観察され、その特徴が記載されます。その記載の場で初めて「そんなわけでこの未知の生物にはXxxxx yyyyyという新たな学名を与えよう」と名前がつけられるのです。この一連の作業を「新種記載」と言います(たとえばニュースになった先輩の新種記載論文はコチラ)。

この属・種という学名によって全ての生物を識別しようというアイデア(二名法)は、スウェーデンの植物大好きおじさんカール・フォン・リンネの『自然の体系』という本が出版された1758年以来、分類学を支える基礎となってきました。この論文では、何故かその中でも特にカイガラムシに注目して1758年以来どのようなペースで新種が記載されてきたかをカウントし、その記載のペースを計算することで、これまでに記載された既知種のカイガラムシと、未だ人類が出会っていない未記載の「新種」のカイガラムシを含めて地球上に何種類いるのか、を推定したものです。

さて、結果はというと、リンネによる自然の体系以来、カイガラムシの仲間は一年に平均30種ほどのペースで新種記載されているようです。特に新種発見のピークとなるのは1985年の195種で、最近は少しペースが落ちている模様。これまでの記載ペースから地球上に存在するカイガラムシは全部で10450種程度と考えられ、残すところあと30%程度だろうとのことでした。この推定については現役カイガラムシ分類学者の先輩から「あと三割というのはやっている人の感覚的にも納得できる」というコメントもあり、なかなか信頼できそうなものです。

さて、この論文を読んだときに思い出したのが10年前の論文です。

Wang & Dodson (2006) Estimating the Diversity of Dinosaurs. PNAS, 103(37), 13601-13605.

『恐竜の多様性推定』

この論文ではカイガラムシではなく、現在は絶滅していなくなってしまった恐竜を対象としています。解析の結果、おそらく恐竜は全部で1850属ほどになるだろうと予測されました。2006年当時知られていた恐竜は527属で、この予測が正しいとするとまだ71%の恐竜は発見されていないことになるとのこと。また、推定された恐竜1850属のうち75%は60〜100年以内に、90%は100〜140年以内に発見されるだろうという推定がされています。1990年に発行された記録では、当時既知であった恐竜は285属だったそうです (Dodson 1990)。この恐竜多様性研究は昔から多くの人の興味をひく話題で、Dodsonの推定では恐竜は全部で1200属ほどいるだろうとされ、その5年後に公開されたRussell (1995)では3400属くらいいるだろうと推定されました。けっこう数字にばらつきが見られます。
また、過去の記載ペースについても言及があり、1824〜1969年の間は1.1属/年、1970〜1989年の間は5.8属/年、1900〜2006では14.8属/年という感じで時代が進むごとに記載のペースが上がっているという傾向が判ります。

さて、こちらの論文をgoogle scholarで調べてみますと、この2006年の出版以来10年の間に100件以上もの論文に引用されていることがわかりました。その中でも最新の論文がコチラです。

Starrfelt & Liow (2016) How many dinosaur species were there? Phil Trans R Soc B 371, 20150219.

こちらの推定ではだいたい1936種程度、非常に近い値が出ています。

1990年の推定 1200属
1995年の推定 3400属
2006年の推定 1850属
2016年の推定 1936種

他にも恐竜種数推定論文はいろいろあるのでしょうが、とりあえずザっと見たものを並べてみた結果がコチラです。1995年の推定が極端に多いようですが、2006、2016と非常に近い値が出されています。これは新たな10年間の記載ペースという追加情報データ以上に、統計手法の改善という面が大きいようです。ちなみに、2006年までの論文は属の数として結果が示されていますが、2016年の推定では種数になっています。恐竜というか古生物の場合一属一種の記載が多いので、あらすじとしてはそれほど間違っていないと思いますが。

カイガラムシでも恐竜でもこのようにこれまでの記載ペースから未知の種数を推定できてしまうのですから、当然みんな大好きフジツボたちでも同じアプローチで地球上のフジツボ種数を推定することができてしまうはずです。フジツボ分類学界にはDarwin (1851; 1854)、Pilsbry (1916)、Newman & Ross(1976)という3大モノグラフが約60年ごとに出版されており、今もフジツボ類の分類を進める上でこれら3冊は必携の文献です。これら3冊の年代ごとにどれだけの種が記載されていたかというデータがとれます。各年代のデータを用いた推定値と、2016年現在の記載情報から出した推定値を比べてみることもできそうですね。今はWoRMSのようなデータベースも整理されているし、わりと簡単にできることなのかもしれません。
posted by 亀藤 at 14:41| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする