CANA1W37_02.jpg
生物学論文紹介同人サークル「ハイアイアイ臨海実験所」です。
ここでは、気になった学術論文を紹介したり、同人活動を告知したりします。

2016年10月05日

【論文】人類は地球上の生物をどれくらい記載したか?

かめふじです。

先日石垣島のアリの巣の中で暮らす新種のカイガラムシが記載され、新種記載した先輩が新聞記事で紹介されました。そんな世間のカイガラムシ熱が高まっている最近ですが、おにぎり食べながらjournal巡りをしていたところ、こんな論文を発見してしまったのです。

Deng J, Li K, Chen C, Wu S, Huang X (2016) Discovery pattern and species number of scale insects (Hemiptera: Coccoidea). PeerJ, 4, e2526 https://doi.org/10.7717/peerj.2526

『カイガラムシの新種発見頻度と種数予測』

我々が認識する生物にはいずれも世界共通の名称として用いられている学名(属・種)がつけられています。それでも我々人類の知見の中に見当たらない未知の生物は出てくるもので、それを世間では「新種」などと呼んでいるのです。そんな「新種」の生物は、分類学者と呼ばれる人々に「これまでに知られている既知の生物たちとココがこう違う、ソコもそんなふうに違う」という感じで徹底的に観察され、その特徴が記載されます。その記載の場で初めて「そんなわけでこの未知の生物にはXxxxx yyyyyという新たな学名を与えよう」と名前がつけられるのです。この一連の作業を「新種記載」と言います(たとえばニュースになった先輩の新種記載論文はコチラ)。

この属・種という学名によって全ての生物を識別しようというアイデア(二名法)は、スウェーデンの植物大好きおじさんカール・フォン・リンネの『自然の体系』という本が出版された1758年以来、分類学を支える基礎となってきました。この論文では、何故かその中でも特にカイガラムシに注目して1758年以来どのようなペースで新種が記載されてきたかをカウントし、その記載のペースを計算することで、これまでに記載された既知種のカイガラムシと、未だ人類が出会っていない未記載の「新種」のカイガラムシを含めて地球上に何種類いるのか、を推定したものです。

さて、結果はというと、リンネによる自然の体系以来、カイガラムシの仲間は一年に平均30種ほどのペースで新種記載されているようです。特に新種発見のピークとなるのは1985年の195種で、最近は少しペースが落ちている模様。これまでの記載ペースから地球上に存在するカイガラムシは全部で10450種程度と考えられ、残すところあと30%程度だろうとのことでした。この推定については現役カイガラムシ分類学者の先輩から「あと三割というのはやっている人の感覚的にも納得できる」というコメントもあり、なかなか信頼できそうなものです。

さて、この論文を読んだときに思い出したのが10年前の論文です。

Wang & Dodson (2006) Estimating the Diversity of Dinosaurs. PNAS, 103(37), 13601-13605.

『恐竜の多様性推定』

この論文ではカイガラムシではなく、現在は絶滅していなくなってしまった恐竜を対象としています。解析の結果、おそらく恐竜は全部で1850属ほどになるだろうと予測されました。2006年当時知られていた恐竜は527属で、この予測が正しいとするとまだ71%の恐竜は発見されていないことになるとのこと。また、推定された恐竜1850属のうち75%は60〜100年以内に、90%は100〜140年以内に発見されるだろうという推定がされています。1990年に発行された記録では、当時既知であった恐竜は285属だったそうです (Dodson 1990)。この恐竜多様性研究は昔から多くの人の興味をひく話題で、Dodsonの推定では恐竜は全部で1200属ほどいるだろうとされ、その5年後に公開されたRussell (1995)では3400属くらいいるだろうと推定されました。けっこう数字にばらつきが見られます。
また、過去の記載ペースについても言及があり、1824〜1969年の間は1.1属/年、1970〜1989年の間は5.8属/年、1900〜2006では14.8属/年という感じで時代が進むごとに記載のペースが上がっているという傾向が判ります。

さて、こちらの論文をgoogle scholarで調べてみますと、この2006年の出版以来10年の間に100件以上もの論文に引用されていることがわかりました。その中でも最新の論文がコチラです。

Starrfelt & Liow (2016) How many dinosaur species were there? Phil Trans R Soc B 371, 20150219.

こちらの推定ではだいたい1936種程度、非常に近い値が出ています。

1990年の推定 1200属
1995年の推定 3400属
2006年の推定 1850属
2016年の推定 1936種

他にも恐竜種数推定論文はいろいろあるのでしょうが、とりあえずザっと見たものを並べてみた結果がコチラです。1995年の推定が極端に多いようですが、2006、2016と非常に近い値が出されています。これは新たな10年間の記載ペースという追加情報データ以上に、統計手法の改善という面が大きいようです。ちなみに、2006年までの論文は属の数として結果が示されていますが、2016年の推定では種数になっています。恐竜というか古生物の場合一属一種の記載が多いので、あらすじとしてはそれほど間違っていないと思いますが。

カイガラムシでも恐竜でもこのようにこれまでの記載ペースから未知の種数を推定できてしまうのですから、当然みんな大好きフジツボたちでも同じアプローチで地球上のフジツボ種数を推定することができてしまうはずです。フジツボ分類学界にはDarwin (1851; 1854)、Pilsbry (1916)、Newman & Ross(1976)という3大モノグラフが約60年ごとに出版されており、今もフジツボ類の分類を進める上でこれら3冊は必携の文献です。これら3冊の年代ごとにどれだけの種が記載されていたかというデータがとれます。各年代のデータを用いた推定値と、2016年現在の記載情報から出した推定値を比べてみることもできそうですね。今はWoRMSのようなデータベースも整理されているし、わりと簡単にできることなのかもしれません。
posted by 亀藤 at 14:41| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月23日

【論文】ジュラシック・ポーク:時をかける教徒

亀藤です。なにやらよくわからんタイトルの論文がグースカアラートで流れてきたので今日はこちらを紹介します。

Jurassic Pork: What could a Jewish time traveler eat?
Plotnick et al. 2015
Evolution: Education and Outreach, 8, 17.


『ジュラシック・ポーク:時をかける教徒』
なんだこりゃ


ふだんあまり目にしない単語が出てきたものでなんのことかさっぱりわからなかったのですが、これはユダヤ教徒が中生代、新生代だのにうっかりタイムスリップしてしまった場合、厳しい戒律の制限の中でいったい何を食べることができるのであろうか、という内容の論文でした。

ユダヤ教徒には「カシュルート(Kashurut)」という食事規定があるそうで、その食べてもよいものを「カシュル(kosher)」と呼んでいるそうです。さて、ではそのカシュルートで許されている食べ物とはなんでしょうか。

牛・山羊・羊・カモシカ・魚・ハト・カモ・ニワトリ・イナゴなどは規定上食べても問題ない一方で、ラクダ・イノシシ・ウサギ・ハイラックス・豚・馬・ロバ・モグラ・ネズミ・ネコ・ライオン・狼・キツネ・トカゲなんかは食べてはいけないとされているそうです。規定で制限しなくてもライオンをいただく機会はなかなかないと思いますが…

タイトルのジュラシック・ポーク、つまり豚肉ですが、豚はここ数千年で家畜化されたイノシシでしかないので、うっかりタイムスリップするにしてもそのときには存在しない可能性が高いわけです。野生の豚であるところのイノシシですが、こちらは分岐年代推定的には新世代に入ってわりとすぐラクダ類と鯨偶蹄目から分岐した系統の模様(Gatesy et al. 2013)。この系統の最古の化石記録は5500万年前頃のようですので、それ以前であればとりあえず食べても大丈夫なようです(そもそも哺乳類が調子に乗り始めたばかりの時期なのでそんなにたくさん他の哺乳類がいたかわからないけど)。

さて、個々の事例を挙げていくとキリがないので、どういう基準でユダヤ教カシュルートにおける食用の可・不可が決められているのかを見てみましょう。wikipedia先生によれば「四足の獣のうち、反芻しないものは食べてはならぬ」とされているようです。確かに豚は反芻しない一方、牛は反芻しています。また、もう一つ「蹄が割れていないものは善悪の区別ができないために食べるべきでない」というよくわからない条件もあるようです。ここで問題になるのがラクダです。ラクダは反芻しますし蹄も中指と薬指を残して他の指が退化しているため割れており、食べることは可能なはずですが、蹄が毛に覆われていて明確に割れているように見えないためユダヤ教においては食用とすべきではないとされているようです。ただ、これは現生ラクダの場合。一方、始新世頃のラクダ祖先化石記録を見てみますと、キッチリ割れています。
rakuda1.jpg
論文より、aがカモシカ、bがラクダ祖先化石 Hypertragulus calcaratus、cがラクダ。
ちょっと写真の角度が悪く蹄の形態が見にくいのですが、ラクダ祖先化石である Hypertragulus calcaratusは形態的には食用としてもよさそうです。しかし、反芻という性質は系統的にはラクダ類と牛をはじめとする反芻動物とそれぞれ独立に獲得された形質で、ラクダ系統がいつ反芻という性質を獲得したかについてはよくわからないため、タイムスリップしてみないと結局よくわからないというのが現時点での結論のようです。


ここまでは新世代の食生活について考察してきました。いよいよ中生代にタイムスリップです。
中生代の主役といえばもちろん恐竜です。ユダヤ教徒たちはピクルのように恐竜を倒して食すことができたのでしょうか。この問題を考える上で参考になるのが恐竜たちの末裔たる現生鳥類の扱いです。ニワトリ肉はカシュルとして認められているため、鳥ならなんでもOKかと思いきや意外と制限されています。
カシュルとして許されているのはニワトリ、ハト、カモ肉で、アウトと認定されているのがハゲワシ、ミサゴ、ミミズク等猛禽類、カモメ、ペリカン、サギ類、ヤツガシラなどだそうです。ヤツガシラなんて捕まえようと思ったってそうそう捕まえられるもんじゃないと思いますが…ちなみにコウモリも鳥カテゴリ内で禁忌の食材としてカウントされています。
さて、この鳥肉内の謎のカシュルート基準はいったいどういうものなのでしょうか。ざっくり言うと、predatorは食すべきでない、ということにされているようです。predatorというのは獲物を足でガッチリ掴んで運べる、生きたまま獲物を食べる、などということを示している模様。確かにペリカンもあんな顔して鳩丸呑みにしたりしますしね。

というわけで、predator系の獣脚類(ティラノサウルスとかベロキラプトルとか)はもう全滅ですね。ではトリケラトプスなどの草食恐竜はどうでしょうか?カシュルートには他にも、羽毛があり、4本脚で歩く全ての這うもの(爬虫類・両生類・昆虫も含む)はアウト、という謎の条件があります。現生でいうと、トカゲ肉なんかがこの条件でアウトとされているようです。ではトリケラトプスはどうか、というと、確かに4足歩行ですが、最近あれは足の裏で歩いているのではなくてつま先立ちで歩いているのだ、とする研究成果が発表され、角竜類の歩行に関して我々の理解を大きく進展させました(Fujiwara, 2009)。その意味ではトリケラトプスはカシュルとして認定しうるものです。しかし、この角竜類の中で最も祖先的とされるプシッタコサウルスあたりを見てみますと、二本脚歩行であり、また羽毛を持つものも見つかっているようです。このようなことから、トリケラトプスも羽毛があった可能性を完全には否定できず、やはりカシュルとして認定できるかどうかはわからない、と こんな調子でこの論文では恐竜全滅と結論しています。

では恐竜じゃないけど翼竜はどうか?翼竜は羽毛がありませんし皮膜で飛んでいたと考えられます。しかし、こちらについても鳥肉カテゴリ内で同じように皮膜で飛ぶコウモリがアウトと認定されていることから、またpredatorであることからもカシュルではないだろう、としています。

このように、時代を遡れば遡るほどカシュル認定しうるタンパク源は制限されていくため、ユダヤ教徒はむやみにタイムスリップすべきではない、という内容の論文でした。ユダヤ教徒は食事にさえいろいろ規定があって生存が難しそうですが、ハイアイアイ群島では『春分と秋分の祭のとき以外はホーナタタ(ナゾベーム現地名)を食べるな』という規定くらいしかないので(思索社版『鼻行類』63ページ)ハイアイアイ群島先住民フアハ・ハチ族の末裔たる我々はタイムスリップしても特に問題なく当時の生活を満喫できそうです。ユダヤ教徒どもとフアハ・ハチ族が揃ってタイムスリップしていたら、今頃は我々フアハ・ハチ族が世界を席巻していたかもしれませんね。

posted by 亀藤 at 02:41| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月10日

【論文】ヒグマの垢擦り

かめふじです。珍しく研究者以外のカタギな方々と飲む機会があり、自分の研究内容やら最近読んだ論文の内容やらをざっくりしゃべったところ、研究者でもなんでもない方々にも非常に楽しんでいただけて、あぁ俺がやってることも読んでるものもそれなりにみんなの興味をひく面白いものなんだなぁ、別に研究者ばかりが面白いと思ってるわけでもないんだなぁというとても新鮮な気持ちになったので、超ひさしぶりに論文紹介します。

本日紹介する論文はコチラ、
Tool-use in the brown bear (Ursus arctos)
Deecke VB (2012)
Animal Cognition, 15(4), 725-730.

ヒグマの垢擦り

人間が人間たるゆえんと言いますか、我々ホモサピが他の動物とどう違うのかを考えてみますと、様々な目的のために様々な道具を利用するところが挙げられるかと思います。一方で、それがホモサピのみに許された特殊能力か、と言われると実はそうでもありません。特に霊長の仲間なんかは木の枝でシロアリ釣ったりなんなりと道具利用をしますし、本邦のニホンザルからは海水で砂を落とすためにイモを洗うという道具利用が報告されました。

一方で霊長類以外の哺乳類で道具利用となりますと、この論文によればこれまで4例しか報告されていないということでした。まず挙げられるのがラッコです。石を持ってお腹の上に乗せた貝やらウニやらを叩き割って食べるあのシーンは多くの方が動物番組の類でご覧になったこともあるでしょう。次に挙げられるのがゾウです。ゾウは鼻を使って木の枝を器用に振り回して周囲をブンブン飛びまわるハエやらナニやら雑多な虫どもを追い払います。ここから少しマイナーな行動になりますが、オーストラリア西海岸側のミナミハンドウイルカ個体群は、ベントスなど海底の餌をゴソゴソ探すときに海綿(カイメン)をくわえて採餌するそうです。これは海底に潜むエイの毒針から口を守るためにそのような行動をとっているとされています。最後の例はザトウクジラです。どこのザトウクジラもやるというわけではないようですが、どこぞの個体群は口から泡を吐いてカーテン状にして、餌である魚の群れを一つにまとめて一気にバクンと食べるという行動をとります。この行動はbabble net feedingと呼ばれており、僕も何回かテレビで観たことがあります(残念ながら日本にはザトウクジラは子育てのために来ているので、babble net feedingは見られません)。

そして今回の論文では霊長以外の哺乳類で5例目となる道具利用を報告しています。
barnaclebear.jpg
ヒグマの垢擦り行動です。アラスカあたりにザトウクジラの漂着死体があったそうで、そのヒグマは美味しくクジラをいただいていたそうです。で、しばらく観察を続けていると川に入ってなにやらゴソゴソしていると、両手で手頃な石を持ちあげました。そのまま観察していると…なにやら顔についたクジラの脂を落としているようだ。望遠で写真を撮っているのですが、よく見るとこの石にはフジツボが付着している(Balanus sp.)。
e.jpg
フジツボのザラザラでクジラの脂を落とす、まさにフジツボ付き石を軽石として使って垢落としをしているではないか、という内容でした。ここではBalanus sp.としているけど、川っぽいから淡水耐性の強いAmphibalanusかFistulobalanusかな?

フジツボ付きの石はさすがにギザギザすぎるのでやりませんが、僕も学部の頃にバイクで離島を回って野宿してたときには海辺でちょうどいいギザギザ具合の六方サンゴを拾って軽石代わりに垢を落としたものです。強烈な日差しの中で数日シャワーを浴びずにサンゴで体をこすると垢が見事に貯まってなかなか面白い、とか言うとまた引かれるのでこの辺にしておきます(ここ10年くらいは野宿してません(たぶん
posted by 亀藤 at 11:50| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月31日

【論文】空飛ぶクラゲマシーン

亀藤です。日本ではSTAP細胞のスッポンがどうしたと大騒ぎのようですが、ハイダダイフィ島では特にそのようなニュースは流れていないためハイアイアイ臨海実験所は本日も通常営業、今日紹介する論文はコチラ、

Stable hovering of a jellyfish-like flying machine
Ristroph & Childress, 2014
Journal of the Royal Society Interface, 11, 20130992


空飛ぶクラゲマシーン。

ライト兄弟以来人類の飛行機開発は様々な発展を遂げ現在に至るわけですが、モノを飛ばそうとするときにモデルとなるのは鳥だったり虫だったりします。我々が最も身近でお世話になっている大型航空機のアレはおそらく海鳥や猛禽類的な揚力をモデルに発展してきたものですし(たぶん)、羽ばたき型飛行機などは昆虫やらハチドリやらをモデルにしたものだと言えそうです。一方で、これらの技術で解決困難なのが空中での停止、ヘリコプターのようなホバリングです。自然界をモデルに是非このホバリングを実現したい、と思ったのかどうかよくわかりませんが、空中でクラゲっぽく体勢を維持できたらスゴいんじゃね?ということでこの研究者たちはクラゲ型飛行機を開発しました。

というわけで図を…と思ったらyoutubeでクラゲ型飛行物体の動画が公開されておりました。


論文の図にはないのですが、バランスをとるためか下にハリガネのようなものが垂れています。確かにクラゲっぽい動きのような気がしないでもありません。動画では羽ばたきの様子が見えますが、実際には一秒当たり20回近い羽ばたきをしているようです。このクラゲ飛行物体は、外部からのコントロールを必要とせず自律的にホバリングがキープできるということで技術的にはなかなかすごいものだそうです。

クラゲもそうなんだけど、なんかどこかで見た動きだよなー…と思ったらそうだ、これ、マリオのゲッソーの動きだ。


この飛行物体が最大で150kgにもなるというエチゼンクラゲサイズで実現したら…と考えるといずれはリアル空飛ぶスパゲッティモンスターも夢ではないような気がしてきますね。




…とざっくり論文紹介はここまでで、別のお知らせです。一部サイズ切れでお待ちいただいていたハナアルキTシャツの増産分が先ほど届きました。お待ちいただいていた皆様には順次お送りいたします。また、ナゾベームライトピンクもなかなか好評だったので増産しました。

新作ナゾベームTシャツ
nasobema-y.jpgnasobema-p.jpgnasobema-r.jpg
 ライトイエロー S, M, L, XL
 ライトピンク S, M, L
 ラグラン S
各送料込で3500円、

新作ダンボ2.jpg
ダンボハナアルキTシャツ(S, M, L, XL)送料込で3500円です。
ダンボハナアルキ&ナゾベームセットでお求めいただける方は2枚で6000円に割引いたします!

通販ご希望の方がいらっしゃいましたら、ご希望のサイズとカラー、送付先のご住所をメールにて hiiay.kamefuji@gmail.com までお知らせくださいませ!
posted by 亀藤 at 02:30| Comment(1) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月12日

【論文】Forever Love:最古の『腹上死』化石

亀藤です。

今日はステキな論文を見つけてしまったので報告いたします。

Forever Love: The Hitherto Earliest Record of Copulating Insects from the Middle Jurassic of China.
Li S, Shih C, Wang C, Pang H, Ren D (2013)
PLoS ONE, 8(11): e78188. doi:10.1371/journal.pone.0078188


論文のタイトルは読んでそのまま、Forever Love。

続きを読む
posted by 亀藤 at 23:36| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月12日

【論文】白亜紀の超巨大ウミガメ

A Giant Chelonioid Turtle from the Late Cretaceous of Morocco with a Suction Feeding Apparatus Unique among Tetrapods.
Bardet et al. (2013)
PLoS ONE 8(7): e63586. doi:10.1371/journal.pone.0063586


【論文】白亜紀の超巨大ウミガメ

亀藤です。

我らがハイアイアイ臨海実験所ですが、所長も亀藤も揃って英語論文を読むのが遅いため、特に人気のある古生物系学術論文はいつも他のサイトやブログに速報されてしまうのですが、今回は珍しくどこも取り上げていないようなので今のうちに更新しておこうと思います。

今日紹介する論文はこれまでに見つかった中でも最大級とされるウミガメの化石についてです。
その発掘された化石がコチラ、

Ocepechelon fossil500.jpg
Ocepechelon bouyai。カタカナで表現するとオセペケロンになるのでしょうか。
この写真の頭骨は最大長約70cm。オセペケロンの頭骨は今までに知られているウミガメ化石の中でも最大のものです(体長4mとされるアーケロンよりも大きい)。残念ながらオセペケロンは写真にある頭骨しか発掘されておらず、下顎を含めた顔全体、また、甲羅を含めた体全体の大きさがどれくらいであったかについてはよくわかりません。しかし、この特徴的な頭骨からどのような生活をしていたかについて考察されています。

中段左側の正面からの写真を見るとわかりやすいのですが、オセペケロンは口吻部が筒状の構造をしています。現生アカウミガメの頭骨写真と比較してみると、アカウミガメはいかにも「噛み潰すぞ」感が溢れているのに対し、オセペケロンにはそうした気配が感じられません。
loggerhead bone.jpg
この特徴的な構造からオセペケロンは suction feeding - 吸い込み型の捕食行動をしていたのではないか、と述べています。手元に資料がないので図で紹介できないのですが、論文では現生魚類や鯨類の一部など、この吸い込み型捕食行動を行う他の生物の頭骨との構造の比較がされています。suction feedingを行う生物の中でも特にオセペケロンに特徴的なのが、この筒状の構造が骨でできていることです。たとえばマッコウクジラなどもsuction feedingを行いますが、筒状の骨を持っているわけではありません。多くの生物が唇(?)のようなsoft tissueを利用して吸い込み方捕食を行っていますが、骨の形から筒状の生物は他に知られていないようです。また、鼻孔の位置がずいぶんと上向きなところから、海でも特に表層域で生活していたのではないか、と考察されています。


ご丁寧に動画で再現。

Ocepechelon reconstruction.jpg
↑こちらが復元画。頭しか見つかっていないので首から後ろがカットされているのが残念です。今回の化石はモロッコで発掘されたものです。同地域の同年代にはモササウルスや首長竜、他のウミガメ化石など多くの海棲生物化石の産出が知られています。今後もこの地域の化石発掘が進むことで、オセペケロンの甲羅も含む全体像を復元できるといいなぁ、と期待しています。カメフジツボ類の出現は新生代の真ん中まで待たなければなりませんが、エボシガイやスジエボシに近い仲間はもう出現しているはずです。オセペケロンも表層を生活圏としていたようですし、エボシガイ集団に住みかを提供する流木のようにたくさんのエボシガイを付着させて泳いでいたかもしれません。


本論文には関係ありませんが、我々ハイアイアイ臨海実験所はいつも速報性こそないものの、「なんで今頃?」みたいな1980年代の論文とかも突然更新したりします(特に沼が)。今までほとんど誰にも知られていなかった、そして我々が発掘しなければこのまま誰にも知られることなく朽ちていくであろう研究成果を発掘するというニッチを開拓、という意味でこれはこれでいいのかな、と思わないでもありません。そんなわけで次元断層ニッチにひっそりと存在するハイアイアイ臨海実験所、ひさびさの参戦となる夏コミもよろしくお願いいたします。
posted by 亀藤 at 22:36| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月09日

【論文】Darwinが来た!

How many Darwins? - List of animal taxa named after Charles Darwin.
Milicic D, Lucic L, Pavkovic-Lucic S (2011)
Natura Monteneglina, 10(4), 515-532.


亀藤です。

この論文では生物学に大きな影響を与えたかの有名なCharles Darwinに献名された生き物をリストアップしています。著者らの調べでは、全部で301の分類群(属名・種小名)にDarwinの名前が付けられているとされています。

Charles Darwinと言えばフジツボであります。かの有名な『種の起原』も、8年以上に及ぶフジツボ研究がなければ存在しえなかったものです。そんなフジツボ界におけるDarwinの献名具合はというと…

Order Peduculata (有柄目)
Arcoscalpellum darwinii (Hoek, 1883)
Dichelaspis darwinii (Filippi, 1897)
Trianguloscalpellum darwinii (Hoek, 1883)

Order Sessilia (無柄目)
Chionelasmus darwini darwini (Pilsbry, 1907)
Cylindrolepas darwiniana Pilsbry, 1916
Gibbosaverruca darwini (Pilsbry, 1916)

6種。意外に少ないですね…(この著者らの調べでは抜けてますがサンゴフジツボの仲間に Darwiniella と命名された属もあります)。

このリストではたとえばサシガメの一種 Pristhesancus darwinensis もDarwinへの献名として一緒にリストしています。種小名の「〜〜ensis」は地名を示す接辞語で、人名に対する接辞語ではありません。このDarwinはオーストラリアのダーウィンという地名に由来しています(しかしこのダーウィンという地名がCharles Darwinに由来するらしいので、無理矢理解釈すればこれもまたDarwinへの献名ということもできるのでしょうか)。

また、この論文では最後に
The most probably, the animal list presented here is not complete: (以下略

とする言い訳の文章も入っています。特に化石については全く触れていません。そのため、このリストは極めて不十分なものです。まぁこのDarwinリストが完全になったからってそれがどうしたの、という程度のことではありますが、こういう論文もあるんだなぁ、と新鮮に思ったのでひさしぶりに小ネタを紹介してみました。
posted by 亀藤 at 21:10| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月03日

【論文】フジツボのペニスの脱落と再生

沼です。
今回はフジツボの雄性生殖器、つまりペニスについての論文紹介です。

Regeneration of the penis in Balanus balanoides (L).
Klepal and Barnes, 1974.
J. exp. mar. Biol. Ecol., Vol.16, 205-211.
PDFこちら
続きを読む
posted by 沼 at 21:35| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月07日

【論文】深海潜水艇トリエステ号の伝説

亀藤です。なんか沼が続けて論文紹介してくれたのでひさびさにこちらも1本紹介します。今日紹介する論文はコチラ、

On the validity of the Trieste flatfish: dispelling the myth.
Jamieson and Yancey (2012)
Biological Bulletin, 222, 171-175.


深海潜水艇トリエステ号の伝説

続きを読む
posted by 亀藤 at 21:12| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月25日

【論文】フジツボ類とアッキガイ類の競争的進化

沼です。
前回の記事に引き続き、蔓脚類(広義のフジツボ類)の防御戦略に関わる論文の紹介です。

Predation and parallel evolution: recurrent parietal plate reduction in balanomorph barnacles.
Palmer, 1982.
Paleobiology, Vol.8(1), 31-44.
PDFこちら

論文タイトルは、「捕食と平行進化:フジツボ亜目で周殻の減少が繰り返し起きた」という感じ。
巻貝類がどのようにしてフジツボを捕食するか、フジツボはどのような防御戦略で捕食に対抗しているか。
結論として、フジツボと巻貝の間で競争的な進化が起きているのではないか。
そんな話です。


続きを読む
posted by 沼 at 19:43| Comment(0) | 論文紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする